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色々書いていきます

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【プロが語る】前十字靱帯(ACL)断裂での手術とリハビリ体験記【③:手術について】

【前十字靱帯断裂で手術を受けた専門職の私が、経験も交えながら一般の方にも分り易いように書いていきます。】

第三回は手術についてを書いていきます。

前回の記事では診断について書きました。

 

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今回は、手術についてを書いていきます。

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前十字靱帯(ACL)断裂での手術

手術で行う一般的な方法は、自家腱移植という方法が用いられます。

自家腱移植では、BTB法とSTG法のどちらかが選ばれます。この違いは後ほど書きます。

基本的に、関節鏡視下での手術になります。膝に小さな穴(1cm程度)を2箇所開け、そこから内視鏡や器具を入れて、モニターに映る映像を見ながら手術します。

文章では分かりにくいので図示してみました。↓f:id:ratoblo:20170618185811j:plain

ちなみに、関節鏡下手術で開ける穴はこんなもんです。

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わかります?

これです。(小さい赤丸2つ)

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これくらい小さいんです。

毛と肌の色のせいで見にくいのもありますが...笑

左上の傷は靱帯採るときの物です。

自家腱移植とは(簡単に)

  • 自分の体のある採っても大丈夫な腱の一部を採ってくる。
  • 採った腱を折り曲げて強くし、移植材料にする。
  • 前十字靭帯(ACL)が本来ある部分の上下の骨にトンネルのように穴を開ける。
  • トンネルの中にしっかりと張った状態で移植材料を通し、固定する。

BTB法とSTG法の違い

移植するための腱をどこから採ってくるかの違いです。STG法の方が多い

BTB法

BTB法は膝蓋腱(Bone-patellar Tendon-Bone)から採ってきます。

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STG法

STG法は半腱様筋 (Semitendinosus)と薄筋 (Gracilis)から採ってきます。

私はSTG法でした。

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利点と欠点

BTB法

【利点】

・初期から比較的強度が強い。

【欠点】

・術後の痛みが続きやすい。

STG法

【利点】

・痛みが少ない。

・前十字靱帯の形状を再現しやすい。

【欠点】

・膝を曲げる筋力の低下。特に深く曲げる時で顕著。

 

どちらを選ぶかは医師の判断です。長い目で見た時にはそんなに大差はありませんので自分はどっちだ~とか、気にしなくても大丈夫です。

 その他の手術・治療

ここで、今まで言ってきた事と矛盾してしまうのですが、より多くの情報を提供したいので書きます。

保存的修復法

昔は、前十字靱帯は修復すると言われ、切れた靱帯をくっつける手術が行われていました。でも、この手術後につなげた靱帯が断裂する事が多かったため、前十字靱帯は修復しないとなり、自家腱移植が主流になりました。(現在の主流)

今、この定説がまたひっくり返るかもしれません。

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切れた前十字靱帯は適切な運動をして適切な刺激を入れると、元通りの位置に繋がってくれるという報告があります。また、手術で前十字靱帯を正しい位置に戻して、つくまでの間、補強をするという手術も外国では行われています。(日本でやっているかは分かりませんので「外国では」と書きます。)この手術では、運動できるまでの期間が短縮できるという利点もあります。ただ、この方法は断裂してから早い段階でやらなければいけないという制約がありますし、手術しない方法では100%の確立でつく訳では無いというのも追記しておきます。

このように、定説がひっくり返るのは医療界ではよくある事なので、間違っている訳では無いのです。それは医療の進歩のために日々研究されているから起こる仕方のない事。私はSTGで手術受けていますし、担当の医師を信じてください。

 術後

術後すぐは、再断裂の危険性があるので要注意です。

移植した腱は移植後すぐはある程度強いのですが、そこから数週間かけて弱くなります。一度、壊死してから、徐々に強くなるのです。しっかりと強くなるまでに3か月程かかりますし、最高に強くなるには年単位かかります

その為、スポーツ復帰には6ヵ月~9ヵ月がかかりますし、その間しっかりとリハビリしなくてはいけません。

筋力が弱いと再断裂の可能性が高い!!!

術後の経過、病院による違い

これは、病院によりさまざまです。

  • 装具を着ける病院・着けない病院。
  • 手術してからすぐ歩かせる病院・なかなか歩かせない病院
  • すぐ退院させる病院・長く入院させる病院

こればっかりは、主治医の判断によるものなのでなんとも言えません。

今も専門家の間で様々な意見がやり取りされていますので、どれが一番いいとは言えません。

が、私の理想は

早く歩いて早く退院して、筋力の回復を早める。

です。

ただ、「再断裂しなければ」の理想です。実際には、前記したように靱帯は弱い状態なので早い段階で動きすぎて再断裂してしまった人も大勢いますので、難しい所です。

私の場合

私の主治医は慎重派なので、なかなか歩かせなかったし、リハビリの段階上げも慎重です。その為、許可された運動は頑張りましたが、筋力がかなり落ちました。現在、術後6カ月が経過し、ダッシュ・片足ジャンプがOKになったので、かなり頑張ってトレーニングしていますが、いい方に比べてまだまだ弱いです。

ただ、再受傷せずにここまで来れたのはよかったと思います。

 

いかがだったでしょうか?

次回は、手術後に着ける装具の着け方のポイントを書きたいと思います。